富士山

富士山

富士宮口山頂に辿りつき、オレンジ色に染まる東の空を見ていると、やがて、太陽が昇りはじめました。シーズン中は多くの人で賑わうご来光の時間ですが、今朝は誰の姿もありません。新しく生まれた光に包まれて、そこにあったのは富士山とぼくだけです。

なぜだか無性に歌が歌いたくなり、ぼくは大きな声で歌いました。歌は富士山に響いたあと空に向かって広がります。そして、風が音のかけらをつかんでは、繰り返し飛び立ってゆきます。

音には想いを込めました。光と影が交わる場所で、喜びと悲しみが溶け合う場所で、生まれくる葛藤と願いを込めました。この瞬間、ありのままで生かされているぼくを、ぼくはずっと信じてあげたい。そんな歌を歌いました。