岩手山・大雪山・十勝岳

6月の終わり、北へ向かいました。岩手山、大雪山、十勝岳に登りました。まだ梅雨の盛りだというのに、山の空は高く青く澄んで、どこまでもどこまでも広がっていました。今回訪れたどの山にも複数回の登山経験があります。けれど、曇っていたり、雨だったり、吹雪だったり、厳しい状況の中をなかば強引に登った場合がほとんどでした。こんなにも美しく晴れ、気持ちよく歩けたのははじめてでした。
同じ山に再び登る機会が訪れるのは、「過去と現在の自分を照らし合わすべし」という神さまからの指示によるものだとぼくは考えています。天候、ルート、装備、体力、心持ちなどといったさまざまなコンディションが以前とどう違うか、1つひとつ客観的に検証することを要求されているのです。昔の自分を否定するのではなく、今の自分を冷静に捕捉する。そうすることで、これからの自分への課題が見えてきます。
ぼくが見つけた課題、それは「専念」でした。自分の真ん中にある、譲ることのできない想いに対してすべてを注ぎ続けることは、なかなかにしんどい行為です。それでも、悩み、惑い、ぶれてしまいそうになる心を奮い立たせ、自分の想いに全身全霊を傾けろと山は言います。大切なのは自分の今、自分だけの今です。見えない未来に怯え、誰かのせいにしても、何一つ変わりません。その時、その瞬間、胸の奥から響いてくる想いを受け止め、言葉や行動で今に積み重ねることでしか、明日に光は差してこないのです。
大雪山の展望台に立ちお鉢平を眺めました。目の前に在る穏やかな営みが、自分の今を満たしていることが嬉しかったです。試されている、そう感じました。自分の立っている場所を、これから踏み出すであろう一歩を、どれだけ強く信じ続けられるか、山に覚悟を問われていました。ただ、今に心を置く。その繰り返しを日常に変えていきますと、ぼくは山に誓いました。