至仏山(残雪期)

今が好きですか?と問われるなら、「はい」とぼくは即答できます。なんでもない毎日を笑って過ごせるという奇跡。それを感じられる喜びに確信があるからだと、自分では考えています。ずっと望んでいた子ども達との穏やかな日々だったり、輝くような未来への予感を分け合える妻との関係だったりは、間違いなく、ぼくにとってこれ以上ない大きな喜びです。
どこまでも不完全な自分を補うこういった喜びには、自分を動かしている大きな営みの一部(神さまとか自然とか宇宙とかなんでもいいのだけれど)を、自分の中に持つような幸せが宿ります。
至仏山に立ち尾瀬を見下ろしました。信じられないくらい美しい残雪の尾瀬を見つめながら、先日亡くなった父のことを想いました。尾瀬は彼が大好きだった場所です。父もきっとこの景色を、ぼくと一緒に観ていることでしょう。「幸せだなあ、父さん」。ぼくはそう父に伝えました。


