西穂高岳・奥穂高岳

心にじっと目を向けていました。西穂高岳~奥穂高岳は一般登山道として国内最難ルートのひとつと言われています。山の様子を常にうかがい、身体との対話を繰り返しながらも、心の隅でいつ広がるやもしれない恐怖の気配を、ぼくは感じ取ろうとしていました。

積み重なった不安にとらわれて、目の前の今が恐怖でがんじがらめになる瞬間があります。たった一度のミスが死に直結する岩場を10時間近く歩く西穂高岳~奥穂高岳というルート。少しでも自分の歩みに自信を無くせば、恐怖で心が絡め取られ、身動きが取れなくなります。

物事そのものではなく、物事に対して自分が何を感じているか、どう感じてしまうかという「反応」を冷静に分析できないとき、とてつもない恐さが湧いてきます。感じてしまう恐さは仕方ないけれど、すぐにその存在に気づき、そして、認めてあげられる自分でありたいです。恐怖を励ましたり、勇気づけたり、いつも客観的でいられることは、これからのぼくにとって必要不可欠な登山技術なのですから。

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