乗鞍岳

9月の終わり、乗鞍岳に登りました。前日までに肩の小屋へと入り、早朝、太陽の昇る前に山頂を目指しました。この時期、下界にはまだ夏の色合いが残っていても、3000mを超える乗鞍の夜は凍えるほどの寒さになります。霜柱をザクザクと踏みしめながら、一歩ずつ、ゆっくりと登ります。
今年で40歳になったぼくは、まだ夢を見ています。想いが、身体が、ほんの少しでも高い場所にある、見たことのない景色に届くようにと願っています。最近つよく感じるのは、エベレストに登るという目標は決してゴールではないということです。8848mより高い場所なら、ぼくらの暮らす宇宙にいくらでもあります。火星にある太陽系最大の火山オリンポス山の高さは25000mです。
歩き始めて2時間弱、山頂に辿り着き、雲海を見下ろしました。日の出には少し時間があります。繰り返し、繰り返し、ぼくは夢を想いました。おそらくは、何の役にも立たず、誰のためにもならないであろう、自分勝手な夢を想いました。
太陽が昇ってきました。世界が、地球が、色彩を取り戻します。また一つ、ぼくは知らなかった景色を知りました。想いよ、どうかこれからも、まっすぐに飛べ。あたりまえを、恥ずかしさを、後ろめたさを、惑うことなく飛び越えていけ。





