赤岳(厳冬期)

浅い眠りでした。冷気に揺り動かされ、何度と無く目を覚ましました。テント内の気温は-10℃を下回っています。南八ヶ岳の主峰赤岳への登山口にある行者小屋のサイトにテントを張り、太陽が昇るのを待っていました。山が受け入れてくれるその瞬間を静かに待っていました。

山に登るために得とくすべき技術は多いです。目的とする山の高さが増せば増すほど、必要なスキルの数もそれに比例します。どれほど細かくても、その1つひとつが自らの命を守るための大切な要素です。真摯に、丁寧に、研鑽を積んでいきます。

登山技術のベースとなるのは忍耐力です。重い荷物を背負い、自らの足で一歩ずつ高度を上げる作業は、絶え間ない我慢の連続になります。重力、風、日差し、寒さ、痛み。山が用意するあらゆるものに耐えきることができなければ、山頂への道は決して開かれません。

今回の山行は一泊だけれど、これから目指す山々を登るためには、短いもので数日、長ければ一ヶ月以上、風雪の中でのテント泊を強いられます。本来、自然の中で、自然に溶け込んで生きるためには、耐えることに喜び(もしくは喜びに似た何か)を見出さなければならないのでしょう。そしてそれは、繰り返す日常に笑顔をもたらすため、どこまでも不完全な自分と向き合い続けることに他ならないのです。

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